ある朝 いつもの様に ベランダでのんびりしていたら その宿の超おいしい! と言われている食事の全部を調理しているオーナーのおばちゃんが 寝巻き姿で我等のベランダにやって来た・・。 ちなみにこの宿のネットサイトの評価点は最高点の”9,2”
そして 色々話をしている内にドンドン 身の上話になって来て・・その内彼女は号泣しだした・・。 完全に精神不安定状態に陥っている・・。
その宿は”ファミリー・ビジネス”でまかなっている・・。 つまり とうちゃん・かあちゃん そして息子 3人でマネージしているのだ・・。
以前は 別の所でホテルをやっていたが・・とうちゃんが8年前それを売って・・こっちの建物を購入。 でもって 今二十歳になっている息子が英語ができるので つい数ヵ月前からホステル予約サイトに出している・・。
以来毎日客がやって来る。 全員がヨーロッパからのバックパッカーなので 息子が全員の相手をしている。 ほんの4個のお部屋だけだが・・多い時は6人ぐらい・・少ない時は二人ぐらい・・それでも毎日誰かしら客が来ているので 毎日息子とかあちゃんは働く・・。
特にかあちゃんは 陸の孤島とも言えるここでは 飲み食いは全部 かあちゃんの手で補わなければならないのだ・・。
と言うことは かあちゃんは 365日朝から晩まで どこにも行けず・・働くのみ・・。
と言う事で かあちゃんの愚痴は・・私は32年間 母として5人の子供を育てあげた・・・みんなの教育にもお金がかかった・・上の二人の結婚式も盛大にやり大きなお金を使った・・まだ 3人の結婚式もある・・。
だから 私は身を粉にして働いて来た・・。 でも ちょっと出掛けるのも自分はできない・・。 車もない・・一人ではどこにも行けない・・。 お金をちょっともらいたい・・と言っても誰もお金はくれない。
休みは絶対にとれない・・。
つまり今宿をやって得ている収入は家族にとっては 死活問題である収入なのだ・・。 息子がいなかったら・・英語を話す人は誰もいないので・・息子も常に働いている・・かあちゃんだって一日だって休む事は許されない・・つまり 陸の孤島での客用食事を作らなければならないから・・ と言う事は かあちゃんは出掛けたり・・休みを取ったりなんて許されないのだ・・。
我等がこの宿に泊まった初日は良かった・・。 しかし二日目はかあちゃんは頭痛持ちでひどい症状だったにも関わらず・・6人の客の食事を作らなければならなかったのだ・・。
私等を入れたら8人。 でも 私等の食事は昼の残りのヌードルだけでいいよね・・と具合の悪いかあちゃんは言ってたから 料理はする気は一切なかったのだ・・。
それが 急に客が来て・・また その客がフランス人グループで・・色々細かい注文をいいまくり・・やれ ソースを持って来いだの・・ビールはどうした! だの・・。
具合の悪いかあちゃんは必死で 膨大な料理を作り・・妹ちゃんも 今受験勉強で一番大切で忙しい時期なのに・・料理の手伝いから ウェートレスをさせられ・・いつもは一切出てこない おとうちゃんまで あくせくと テーブルとキッチンの間を行き来していた・・。
息子なんかは 色々客のご機嫌をとるのに必死! 無料でビールを出したり・・無料の朝御飯を次の日にはだしたり・・。 彼の顔はいつもにはない汗と・・必死感がただよっていた。
その次の日の朝が 我等のベランダにやって来た 寝巻き姿のかあちゃん。 そして号泣・・・。
この家族は完全に崖っぷちまで来ているのは確かだ・・。 家族全員 かあちゃんは狂ってしまったと信じて・・精神科医に何回も送る・・かあちゃんは六回も頭の電気ショック治療を受けさせられたとか・・。
取り合えず スリランカでの女性の地位は低い・・。 時には家畜以下かもしれない・・。 そのかあちゃんの愚痴の内容は私に取っては理にかなっている。
信じられない程 女にとっての普通の事が このスリランカでは不条理なのである。
私も 32年間 一切のサラリーもなく 母として・・妻として・・そしてビジネスの仕事も・・三つの仕事をずっと休みなく働かされたら気が狂うかも・・?
労働基準法もあったもんじゃ~ないのだ・・。
私からそのかあちゃんへのアドバイスは・・ ”取り合えず今はしたいことしたら? したくなかったらしなくてもいいと思うよ~。 あなたはその権利があると思う・・” それだけ・・を助言した。 そして彼女はそれを即実行した。
次の日から いくらたくさんの客が入っても 食事は彼女は作らなかった・・。一切キッチンに立たなかったのだ。 その夜は 家族の悲鳴にも似た言い争いの声が宿の建物じゅうに響き上がっていた・・。
あげくの果てには彼女は旅に出ると言う・・。
宿の家族の人に ”かあちゃんどこに行くか聞き出して欲しい・・” と頼まれた。 絶対に口を閉ざして家族には一切行き先を言わない! と固くなになっているかあちゃんから・・私はやっと行き先を聞き出した。
彼女は ずっと前に死んでしまった彼女のおかあさんの故郷 Kandyに行く・・そしてKandyにはおかあさんと血の繋がった人達がたくさんいる。その人達に会いたい・・と言った。 私は・・なぜか 心が熱くなるような気がした・・。
彼女にも人間らしい生活が出来る日が来て欲しい・・・。
宿のかあちゃんは 私と友人を彼女の親戚の家に連れてってくれた。 そこの家にあったジャックフルーツ |
彼女が連れてってくれた親戚の家はどの家も使用人を使う程のお金持ちの家だった。 みんな先進国の家の家財道具がそろっていた。 |
彼女の親戚の家でお茶とお菓子を出してくれた。 スリランカのお菓子。 甘い! でもすごくおいしかった。 彼女が連れてってくれた所は絶対に観光客が入り込まない地域・・つまり現地人だけがいる地域なので・・何を見ても珍しく そして現地人の家の中や その人達の生活振りを見せて貰ってすごくうれしかった! めったに体験できない事が沢山体験できた・・・。 |
とんでもない田舎でであった女の人。 ちゃんと礼装をしている・・。 |
トロピカルの花がそこらじゅうに何気に咲いているのだ・・。 |
パパイヤもそこらじゅうに何気になっているのだ・・。 まだまだ青いので食べられないが・・・店のは黄色く熟して格安でその辺で売っている・・。 |
何気にあるアボカドの実。 |
彼女のお孫さん。 抱いているのは姪っ子さんと言っていた。 彼女は自分が旅に発つ前の日に我々にお別れの挨拶に来た。 突然私の足元に膝まづいて 私の足にキスをしたのにはビックリ!した。 「あなたは私の精神科のお医者さんよ! 私の気持ちを治してくれたもの! それにあたしの尊敬するお坊さんの助言と全く同じ助言をしてくれた! これで私はこれから生きて行けるとおもうわ!」 まだまだ精神不安定であるのはとてもよくわかる・・。 でも 少しでも彼女の助けになったのであれば・・私もすごくうれしい! だって同じ女性ですもの! 女性どうし助け合わなくっちゃ~~! |
次の日は彼女は明るい顔をしてオシャレをしていた。 少しは気が晴れたかな・・? |
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