2014年12月20日土曜日

Canada国境近くのクリスマス 41年前


私は41年前 そして丁度クリスマス時期に アメリカだけどカナダ国境近くの田舎町に来ている・・。

雪が積もり 道路は凍り・・・家々の煙突からは煙が登り・・人々は暖かい家の中で楽しくしているのが感じられる・・・。

どんよりした空も・・クリスマス飾りの家が並ぶのも・・匂いも・・あの41年前と全く同じなのだ・・。

そしてアメリカ発音の英語が飛び交い・・白人の家族が寄り集まり・・みんながディナーをし・・彼らは Family ReーUnionで心は普段よりもっと高なり・・それを アジア人の私は 輪の外から見ている・・と言う図も又又同じなのだ・・。

あの時は辛かった・・。アメリカ人夫婦が1才の子供と産まれたばかりの赤ちゃんを抱えていたので・・私がベビーシッターとして着いて行った。

その子供のいる家族とは・・旅行の前に一回会ったばかりで・・何も知らずに3ヶ月の旅のベビーシッターとロンドンでのベビーシッターの約束で私は着いて行く事になった・・。

東京で一年間寝食を共にした・・アメリカ人家族の知り合いの家族と言うだけで完全に信用し・・ そして旅行費は一切要らない・・その代わりにベビーシッターをする・・と言う約束でついて行くことになった・・。

東京で一年一緒に生活してアメリカ人家族は私を彼らの家族の一員のように扱い・・ベビーシッターとしてその家庭に入って・・・でもやることと言えば 時々子供の世話をするだけでよかった・・。

ほとんどの時間を私は自由に過ごしていたような気がする・・。 子供と一緒に過ごしていたが・・それでも その子供の両親は私をレスペクトするべく 子供に対する両親と全く同じ権限を私に与えた・・。

よってその子供はクッキー一つ得るにも私の了解を得る必要があった・・。子供にとっては両親以外にもう一人の親がいるような状態だったと思う・・。

権限を持つイコール 自然に子供との愛も芽生えて来るのに私は驚く・・。 その2才半の子供は 私が子供を寝付かせる為に本を読むと・・最後は必ず私の首を捕まえ・・私の顔にその子の寝息がかかるくらいくっつけて・・やっと寝に入るのだ・・。

出かける時も・・ 私の服をシッカリと掴み・・時には抱きつき・・そのぐらいしないとその子は安心できないくらいに私になついた。

そんな1年を過ごした時に家族の人が・・あなたは 世界を見る為に英語に接してきた・・・。 つまり我等のヘルプをしてくれた・・ このままずっと我が家にいて欲しいのは山々!

でもあなたにとって ものすごいいい話があるの! 他のアメリカ人家族がベビーシッターを見つけていて・・その人達は3ヶ月のアメリカ旅行を経てロンドンに住む予定なの。 

それでいいベビーシッターを探していて・・ 私はあなたを紹介してしまったの。 あなたを失うのは嫌だけど・・あなたの為を思ったら これはものすごい良いチャンスだと思うの! どう~?

と言うのがきっかけで・・ 私は他のアメリカの家族とアメリカの旅する事になる。

だが・・その今まで東京で一緒に暮らして来たアメリカの家族は前の家族と全くもって違う人達で・・。 24Hours7Days子供の世話プラス メイドの仕事をさせる。

もちろん自分の部屋なぞない・・いつも その辺のソファーとかで寝るしかない・・。 あたしを虫けらのように扱うのが彼らのやり方だった・・。

私は奴隷と同じで人格と言うものも教養と言うものもないただの使用人としてしか扱わなかった・・よって・・私の精神はドンドン蝕んで来たように思える・・。

こき使われている時は無我夢中だが・・フト回りに誰もいなくなり・・深夜になり・・我に戻ると惨めで涙が流れて仕方なかった・・。

精神的に完全にボロボロになった頃ロンドンに辿り着いて・・私はこの家族から脱走することばかり考えていた・・。 

もちろん 家族が私が脱走を企んでいてそれを発見したときは 烈火の如く怒り狂った・・。 

だが・・私は奴隷ではない・・命をかけてもこの家族から離れないと・・精神的に殺されると言う殺気があった・・。 その前に逃げないと・・。

渋々私の家族から離れる事を彼らは許した。

と言うか夫の方は私が苦しんでいるのを見ていたし・・私がこのままでいたらダメになると言うのは理解していて・・妻を制して私を自由にしてくれた。

その苦しい・惨めな3ヶ月の旅の環境そのままが 今41年後の私の目の前にある・・。 

クリスマス一色で塗られた住宅地帯・・凍てつく寒さ・・。 アジア人を見る人の目。
広々とした海外の地に雪が積もり・・アイスバーンの道路を踏みしめると・・あの時の一瞬・一瞬がフラッシュバックのように・・鮮明に思い出され・・何回も惨めな重い気分になる・・。

若い私は言葉少なく・・なにも主張できず・・私の紅茶にティースプーンで砂糖を山盛り5杯も入れながら 薄笑いを浮かべながら・・「あんた甘いの好きなんでしょ?!」と言いつつ・・その紅茶を私に差し出し・・飲め! ホラ!飲めよ~! と強要したあの妻・・。

あの頃の私は若かった・・。 なんの自信もなく・・なんの抵抗もできない奴隷と同じだった・・。あれから41年、 この41年間ずっと・・私はこれと戦ってきたような気がする・・。 

2度と! 2度と! あんな惨めな目には遇いたくない一心で 突き進んできたように思う・・。

”風と共に去りぬ” の第一部の終わりで・・”タラのテーマ”の音楽が流れつつ・・スカーレットが畑の芋をガリリと噛み・・”二度と 二度と こんな惨めな目には遇わない” と泣き崩れる・・。

あのシーンは 私の一生の糧になっている・・。

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