2018年5月21日月曜日

障害者の意識 障碍者への意識

ある時 ドイツ人の車椅子の男性が 私の宿に滞在した。 一週間は泊まっただろうか・・ その間 ずっと 車椅子の後ろを押そうとする 日本人の人が絶えなかった・・。

他にも 沢山の外国人達がいたが・・日本人宿泊客だけが 彼に手を貸そうとしていた。それらの助けに彼は応じてはいたが・・ありがた迷惑であったのは確かだ・・。

その車椅子の彼は世界中を旅していて・・到底車椅子では侵入できないような山奥や 後進国の田舎等に住んでは旅をしている。つまり バリアフリーは全くない所を旅している人なのだ。

私が 車椅子がスタックしたらどうするの・・? と言うと そんな時は 気長に待つさ・・誰かが手を貸してくれる。

困っていたら手を貸す・・・困っていなかったら放って置く。 これは健常者であろうと・・障碍者であろうと同じ 基本的な事なのだ・・。

私の宿では 彼は車椅子が自由に回れる部屋・バスルーム・キッチンがあるので・・不便は無いと彼は言って泊まっていた。

彼にとっては 未開地でもない この地クライストチャーチ・この宿は 全くもって ”補助不要”の場所なのだ。

つまり・・彼は健常者とまったく同じに扱われるべきであるはず・・。

日本人以外の客もたくさんいたが・・日本人だけが 車椅子の後ろを押していた・・。

もう一人の日本人客で 完全に耳の聞こえない客が泊まっていた。 私はその客が耳が聞こえない人であるのに全く気が付かなかった。

そして 彼女はいつも いつも 同じ場所に座り どこにも行かず・・・結果 他の日本人客が いつも いつも誰かしら 彼女の横に座っているのだ。・・不思議に思った。

ある時 私は彼女と話をしなければならない事があったので・・声をかけると・・彼女の反応が ”耳が聞こえない”と言うしぐさをした。 そのしぐさで耳の聞こえないのだとやっと気がついた。

昔 私は耳の聞こえない男の子と付き合った経験で・・一緒に映画を観たり・・手話を覚えた事も思い出した。 

懐かしい気持ちで ”あ~ あなたは耳が聞こえないのね” と言ったトタン! 彼女は烈火のごとく怒りだした。

私は何がなんだかわからない・・しかし・・彼女は 私が彼女を差別しているとして 怒り出したのだ。 

いやいや・・差別したおぼえはないけど・・と いくら言っても 彼女は も~! ”あなたは 障害者の差別をした!” と 何枚も 何枚もの紙を使って 私に筆談で罵倒した。

私は 差別をした覚えもないし・・ ”耳が聞こえないのね” と言っただけで怒り狂うのは どうかしてる・・と 私自身も納得が行かない・・と 言い続けた。

「外からは見えない 障害を抱えた人だって この世にはゴマンといる。常に常に回りにチヤホヤされているだけが 障害者の生活ではないでしょ?” と 私は反論する・・。

彼女は みんなに常にチヤホヤされていて当たり前と思っている感じだ・・。

なぜに障害があろうと 毅然とした一人の独立した人間として 生きていかないのだろうか?

もう20年以上もやっている私のジャイブのパートナーダンスに 全盲の若い男性がいる。 彼はいつもちゃんと踊っている。 多分 クラスの前に クラスでやる動きを先生から前もって教えてもらって・・それを クラスでやっているのだろう。

彼の盲導犬もレセプションの所で大人しく 待っている。 

ある日 そのダンスではない 全く違ったラテン・パートナーダンスのクラブに彼がいたのだ! 彼はダンスしにきたのだろうか? 

早速話しかけてみたら・・やはり彼はダンスをしに来たという。「ラテンダンスもやるの?」と訊くと・・嬉しそうにやるのだ・・。 と言う。

そして 私が踊ろう? と言うと 「いや あなたはジャイブダンスだろ? 僕はラテンダンスをしにきたのだ・・」 と言う・・。

私だってラテンダンスはちょっとだけなら踊れるし・・と思って・・ちょっと断られたのは不満だったが・・。

でも 全盲でどうどうとジャイブダンスや ラテンダンスをする彼には脱帽する。

ダンスには程遠い・・彼の動き。 どちらかというと 踊るというより・・なんか子供がじゃれている格好になる。 だから 彼とのダンスは踊るというより 手足を動かしているだけという風情だ。 

それでも彼と踊る女の子はいるし
彼も彼と踊る女の子も音楽に合わせて体を動かすのを楽しんでいる。

彼には一切 障碍者意識はないし・・そして 回りも障碍者扱いはしていない。 

この国では 障害者は沢山 スーパー等でも見かける。 駐車場で 車椅子を屋根から降ろして・・運転席からそこに移動する人もけっこう見かける・

温泉に 車椅子の人がつるされて 浸かるのも見た事がある・・。

数段の階段を上がらないとエレベーターに乗れない所があった そしてその階段の前で車椅子の人が止まっていた・・。

私がボサッ~ っとしている間に どこからともなく別々に二人の男がやってきて 数段の階段からエレベーターの上までその車椅子の人を持ち上げた! と思ったら 又 何事もなかった様にすぐ二人とも居なくなった。

それは もう アッという間の出来事・・。

サラッと・・おおごとではなく そんな事が さりげなく展開するのが この国なのだ。
日本ではあまり見ない。

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