2017年11月15日水曜日

隣のおじさん

18年前に私の自宅を購入した時に隣に住んでいたおじさんに会って・・いたく敬服した。
彼の裏庭はまるで エデンの園の様に花が咲き乱れ・・手作りパティオは陽のサンサンと照る時に座れば夢心地にさせてくれる。

じゅうたんの様に手入れされている芝は赤ちゃんの肌にもやさしい・・。

手作り温室には冬でも たくさんの野菜が収穫できる・・。 手作り池には蓮が咲き 金魚が泳いでいる。 我が家の池をつぶした時には 全部の金魚をその隣のおじさんちの池に引き取ってもらった。

そして まるで小さな家ともいえるキャンパーバンをも手作りしていた。 一から鉄板を切り 溶接して・・車椅子も乗り降りできるように ステップが自動で上げ下げできるしかけも彼の自慢の手作りだ。

その大きなキャンパーバンがスッポリ入るくらいの大きな倉庫も手作りで建てていた。 その倉庫の中には ありとあらゆるツールが揃えてあり・・まるで旋盤工場の様になっている・・。

と言うのも おじさんの奥さんはほとんど車いす生活をしている。 歩けないし いつも家に閉じこもっている。

と言う事で おじさんは 奥さんとキャンパーバン生活をすべく 何年がかりで作っていた・・。

出来上がった暁には キャンパーバンで ニュージーランドじゅうをさまよいあるいて 外気をたくさん奥さんに楽しんでもらいつつ生活をするのだそうな・・。

そんなある日 私は隣のおじさんを見て驚愕した・・彼の体は半分ぐらいに細くなり・・彼の顔は まるで粘土がつぶれたように潰れてしまっている。

顔の奥に癌ができたのだそうな・・そして多くの肉を切り取ったとの事・・。 食べるにも 話をするのも不自由になってしまった・と彼は笑っていた。

それでも もう夏まっしぐらの気候になりつつ今日この頃・・私とおじさんの庭にある塀の向こうから 彼が庭で働く音がする・・。

モルヒネの何十倍もの痛み止めを摂取しつつ・・それでも 外に出て働く・・・土いじりをちょっとでもしていたら 気がまぎれるからね~~・・と笑っていた。

”生きる”と言う事は そういう事なのだろう・・と思う。


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